『あーあー・・・。』
スーツ姿で渋谷の街を歩き、ため息をついた時の事だ。
私は当時、会社を辞めたばかりだった。
(やりたい事が無い・・・)
それは単なる焦りか妄想か。
そしてそれは、
『早く働きなさいよ!』
仕事を辞めてすぐ、そう母に宣告された。
働きたくないのではない、単にやりたいことが見つからないのだ。
何がやりたいのかも解らないのに、
そしてそれは閉じこもった閉塞感であり、
『生きづらい・・・』
私は見えない、出口の見えない何かにもがき苦しんでいた。
なんにしても就職して働いても怒られ続け、
ハローワークで職業相談をするも、何がやりたいのかわからない。
とりあえず何かに応募し相談をするも、違う業種ではなく、今まで続けてきた業種を継続しろと勧められる。
今まで何がやりたいのかわからないのに・・・。
それを無闇に働き続けてきたのに・・・。
それをまた続けろ!と言われた時の脅迫感。
私は相談しているのになぜか解ってもらえない気がした。
『はぁ、どうしたらいいんだ。』
・・・。
『とりあえず、ナンパでもする?』
私はなにか焦りを感じていた。
一般的な見解からみると就職したい、
しかしながら私の場合は就職したい事でも、就職したくない事という訳でもなかった
帰り道、今日も先が見えない日常の中で山手線に乗り込む。
車内で揉みくちゃになりながら、ようやく席に座る事が出来た。
私はスーツ姿で、あたかも働いて疲れ切ったサラリーマンであるかの様に、座席で目を
★
まぶしい日差しが辺りに広がる。
私は目を覚ますと青空の下、ビーチチェアに座っていた。
そこには目の前にプールがあった。
辺りを見回すと、どうやらここは南国にあるリッチホテルのようだ。
『気持ちいいね~(ニッコリ)』
隣を見るとそこにはピンク色の水着を着た女性がビーチチェアに座
しかも私と手を繋いで。
よく見るとそれは大好きな彼女だった。
彼女『プールに入ろう^^』
手を取り合って身体を起こし、彼女と共にプールに入る。
ジャプジャプ、ジャプジャプ。
私は彼女の手を取りバタ足をさせ、
ジャプジャプ、ジャプジャプ。
手を取りクルクルとプールの中で足を支点に回り、
水面では彼女が宙に浮かぶ様に踊っている。
彼女『ンフッ(笑)アッハッハッー、楽しいね~!(笑)』
彼女の笑い声と同時に、海の方から夕日が見えた。
そしてその時。
私の頭の中で、星野源の『SUN』が流れ出した。
『Ah.Ah …』
星野源sun『いいか、お前ら!押すなよ!押すなよ!絶対にいいね押すなよ!』
『なっにか、楽しいことが起きるような、幻想が弾ける~』
『すべては、おもいどおり!Ah.Ah …』