なぜだろうここにいるのは。
なぜだろうここにいるのは?

実は居る前から
その場所はここにはなかった。

『お母さーん。』
小さい子供が泣いている。

『お母さーん、お母さーん、何処にいるの?』

泣いているとそこは警察署の中だった。

地下室に閉じ込められた様な恐怖を感じた。
なぜだか解らないが、飛び出したい気持ちになりながらも、同時に飛び出さなければならなかった。

皆んなは一体、何をしているのだろう?
ここにいるのは僕だけなのだろうか?

母には裏切られた気持ちになったと同時に感謝が沸き起こる。

『お母さーん、ありがとう(涙)』

私は目を覚ました。

するとそこは病室の一角。
私の身体中に注射器やら心電図やらの装置が接着されていて、身動きが取りづらかった。

『ここはどこだろう?』

私は混乱しながら周りを見渡すと、同じようにベッドの上をパジャマ姿で新聞紙やらテレビを見てる影が、明かりのかかったカーテンに映されていた。

私は訳が分からなくなり、怯えた。
そして、それと共に尿意が止まらなくなった。

ピンポーン!

私は助けを求めて、枕元のすぐ上にあったオレンジ色のボタンを押す。

『はいはーい!』

その声と同時に「シャー」とした音のするカーテンが横に移動した。
目の前にいたのは天使だった。

私は助けを求めるべく、自分に尿意がある事を伝え、ベッドの下にある尿瓶を取ってもらうよう天使にも伝えた。

(ジョロロロロロ、ロロロ。)

私はそれを毛布に隠しながら、音が止むのを待った。

『はい!』

私は恥ずかしながらもそっぽを向き、その天使に濁った色の尿瓶を手でグイッと渡した。

(なんでこんな事しないと行けないんだろう・・・)

頭でそんな事を考えていると、徐々に意識が現実と馴染んできた。
途端に今日、ここにいる事が3日目だという事に気付く。

(なんで僕は一人でこんな所に居ないと行けないんだ・・・母に、、お母さんに会いたい・・・)

そんな拭いきれない寂しさがポツポツと蘇ってきた。
私はしばらくそこで涙を流しながら考えていた。

(ここから抜け出すにはどうしたら良いんだろう。)

・・・。

すると!私の中でやっては行けない何かが。そのやっては行けない何かが再び顔を出し始めた。

(この身体中に付いてるパーツや器具を全て取り外してしまおう!)

私はその哀れな希望を胸に背負い、すぐさまそれを行動した。

右手の甲には注射器が2本刺さっていた。
私は嫌々ながらも痛みと戦い、抜き去った。

(やった!)

私の行動は徐々に希望の規模が増していった。

(さぁて、ここから出るぞ!)

そう思い右手の肘を上げると、
なんと!

またもや注射器が2本、肘の内側に刺さっている。
そこにある、ホクロ目掛けて刺すようにと刺さっていた。

(またか!)

私は更に立ちはだかる壁に一瞬、躊躇し、ここで止まるか辞めるか考えるもすぐに貼ってあった透明なテープを取り、注射器をゆっくりと外した。

そこで勢い付いたのか。

胸に貼ってあった心電器具、頭に付いてる脳波の測定器を、見事に全て取り外した。

(いらない!)

私はただ愛する母親に会いに向かう為、不要な物を全て取り除いていった。
病人でありながらも、その希望に満ち満ちている。
いよいよベッドから降り、闇の病室を抜けると、目の前には天使の部屋があった。

なにやらそこで天使達がこぞって話をしている。
その内の一人の天使と目が合った。

次の瞬間、
私は天使に見つかった事を、その行為を恐れた。

私はすぐさま左にある扉に移動し隠れ急いだ。
そしてそこは光のない真っ暗な部屋であった。

そこで一人うずくまっていると先程の天使が私の背中に追い付く。
私はただただ背中越しに見上げるだけだった。

その天使は私の身長をゆうに超えていたのだった。

『ふえぇーん』

『大丈夫?僕?』

そう、なぜなら、私は小学4年生だったのだ。
私はその天使に、いや彼女に抱きしめられた。

『ふぇぇーん(涙)』
その温もりに、母親の愛情を感じとった。

私は。救われた。

天使『いいか泣くなよ、泣くなよ!絶対に泣くなよ!』

天使『お別れの時間が来たみたいだ。。。泣いたら、あかんかんねーー!!!』

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