金魚鉢①

キン、コン、カン、コーン!

休憩の合図だった。小学生がいる教室で生徒達が何やら白いシャツ、紺のズボンを手に持ち移動している。

どうやら次は体育の授業のようだ。そこでは教室で男女別々に別れ着替えを行っている。

一足先に着替えが終わった一人の少年が飼育されている金魚鉢に目が行き、そこで立ち止まった。

『金魚って可愛いよな〜!』
『何でこんなに綺麗なんだろう』

少年は一人、金魚鉢を眺めながらに呟いた。すると近くにいた友達が言った。

『なんだよ急にどうしたんだよ?』

彼もまた興味深げに金魚鉢を覗きこんだ。すると彼もまたその美しさに惹き込まれたのか、同じような事を呟く。

『うわ、ホントにキレイだわ〜!人魚みたい!』

すると同じように男達がそこには集まり皆んなこぞって、その美しさに魅了された。その様子を見た別の少年が呟いた。

『あいつらアホだよ!あんな事言っといて、反射して映ってる女子の着替え観てるよ(笑)』

そう、そこにはクラスの金魚鉢に女子達が着替えている姿が映っていた。

男達はそんな世界を現実であるが、夢のように覗き見た。そのせいか少年達は体育の授業にも力が入ったのだった。

キン、コン、カン、コーン!

『ふぁ〜!よく寝た!』

ここは高校である。青春期をむかえた高校生は小学生の時の夢を見て成長していた。

その中には未だ女性への執着心を抑えきれずにワザと女性が多い、商業高校へと進学したものもいた。

なぜなら商業高校は男女比が3:7と、クラスには男子より2,3倍近い女子生徒がいた。

ここへ来れば自分はモテるんだ!絶対に青春を謳歌するんだ!とそんな意気込みを胸に持って入ったばかりの事である。

キン、コン、カン、コーン!

『ふぁ〜、よく寝た』

休憩の合図だった。男子生徒の一人、拓也は授業をサボり教室でそのまま寝入ってしまっていた。眠気を覚ますため、両腕を伸びし、アクビをかいていた。

『あれっ?』

すると拓也は教室の異変に気付いた。

『え?・・・ええ?』

ボンヤリしたまま目をこすり開くと、なんとも美しい光景がそこにはあった。

なんとそこには、クラスの女子全員が下着やら、Yシャツ1枚になり、体操着に着替えている最中であった。

『えっ?』

先程まで夢の世界で観ていた金魚鉢がそこにはなく、その奥にあった女性達の下着姿だけがただそこには映っていた。

ここは天国か、、、

しかし、その願いは崩される。

『なに?』『見ないでよ!』
『着替えてるんだから早くどっか行って!』

男勝りな女生徒に圧倒され、拓也は直ぐさま教室から勢いよく飛び出した。

『やべっ!恥ずかしっ!』

拓也は女の様に恥ずかしがり、彼はすぐその場を離れた。
こうして、夢が瞬く間に叶った。

でも、

現実ってこんなもんよね〜!

女子達『いいか、お前ら!見るなよ、観るなよ!絶対に水槽覗くなよ!』

拓也『やっぱり金魚鉢ないとダメか~』

金魚鉢①