読切時間:3~4分 オススメ度★★★★★ 最高傑作!『3人で仲良く使ってよ!!』
その日、私は9歳の誕生日だった。
『ヤダ!僕が貰ったんだから僕のものだ!』
私はお祝いにオモチャのLEGOブロックを叔母から貰った。
叔母『そうだけど、兄弟3人居るんだから皆んなで仲良く使ってね♫』
兄『そうだよ!俺にも使わせろよ』
弟『僕も遊びたい!』
横にいた兄、弟の順にそれぞれ主張が飛び交った。
私『ヤダ!僕の物だもん!
まだ幼いながらも反論をした。
弟『こないだ、一緒にやったじゃん!』
私『やってないって、一人でやらしてくれないもん!』
兄『自分ばっかりズルいぞ!』
さらに兄も、ここぞとばかりにその勢いを増した。
ドンッ!!
叔母『もういい加減にして!』
『もう3人で仲良く使ってよ!!』
★
時は経ち、20年後。
それはゴールデンウィーク。
『はい!ジャジャジャーン!』
私は密かにプレゼントを用意していた。
『えっ、何これ?』
叔母にとっては懐かしの曲。工藤静香のCDを渡した。
『えっいいの?これ?』
祖父(ジイ)には軍歌CDをあげた。
『ありがとう!これでまた演歌が聴けるわ〜』
そして祖母(バア)にはCDコンポをあげた。
叔母『えー!いいなー!私の家コンポ壊れたから使わしてよ!』
バア『何言ってるの?お爺ちゃんも軍歌聞くからダメだって!』
叔母『別にいいでしょ?ねぇオジイちゃん?』
ジイ『えっ?俺はいいけど・・・』
叔母『ほら、いいって言ってるじゃん!』
バア『ダメよ!オジイちゃんにも軍歌聞かせてあげないと!』
叔母『私の所、修理したけど聴けないんだもん貸してよ!』
バア『私だって演歌聴きたいんだから!
叔母『ちょっと位いいじゃない!』
ドンッ!!
私『もういい加減にして!』
『3人で仲良く使ってよ!!』