親父に出てけと言われた、その日の事だ。
何故だかその時は解らなかったし、
分かりたくもなかった。
2階の四畳半のボロアパートに父と私が住んでいる生活。
親父『お前はなんで遊んでばかりで勉強しないんだ!』
男『解ったよ!後でやるからいいじゃん!』
その当日、流行っていたポケットモンスター!
父親が急に私の目の前に立ちはだかった。
それを見た時、
その時だ!
『ガシャーン!』
私は唖然とした。
(えっ、なんで?)
親父『親の言う事を聞かない奴は出て行け!』
そう私に言い放った。
当時は何が何だか判らなかった。
むしろ、理解したくなかった。
なんせ、目の前にいたのは自分が大嫌いな父親だ。
出て行って欲しいのは当に自分でもわかっている。
なんせ、
お前が俺の、俺達家族にした事を振り返ってみろよ!
そう言い放ちたかった、しかし言い放てなかった。
今の俺がここにいるのはあいつのお陰。
あいつのお陰で生きている。なんて絶対に言いたくない。
そんな嫌悪感、
そんな中、2階の階段を降りてアパートから離れる途中、
住人『どうしたんですか、そんな顔して。
嫌味なのか、皮肉で言っているのかは分からない。
男『いやぁ、またあの親父が怒り出して、、、
住人『あー、私も解りますよ。 そりゃ何年も同じアパートに居るもんですから声もストレートに聞
何故だろう、
私も父親に対して同感だったのだろう。
そんなやり取りをした後、私はそこから離れ家からも離れた。
しかし何故だろう、
私の最愛の母が作った料理を否定し、家族に食べさせなかった事。
仕事から帰って来ては、
そんな父親を理解する気もないし、
とっくに私は記憶から忘れかけていた日常を思い出せられた。
★
そして、10年が経ち自宅のアパートに手紙が届いた。
開けてみると、それは父が亡くなったという知らせだった。
私は驚愕した!
『なぜだ!』
こんな風に思った事なんて一度も無いのに一刻を争う時だ。
急いで走りながらも、その間父との生活が頭をよぎる。
幼い頃に父と自転車に乗りながら、
どこに連れてかれるかはわからなかった。しかし、
その時間は格別な時間であったのは間違いない。
誕生日パーティー。
家族団欒で自分はよだれ掛けと、おしゃぶりを付けていた。
『Happy Birthday to you~!』
『ハッピバースデートゥユー!』
『ハッピバースデー・・・』
私は我に返った。
なぜだか、幼少期の自分が出現した。
そして、久しぶりのボロアパートを見た。
カンカン、カンカン、カンカン、カンカン
私はボロい階段を急いで渡り、共にその音を親しんだ。
玄関のドアを開け、
父はガンで亡くなっていた。
ふと窓に目をやると、缶ビール、タバコの吸殻が置かれていた。
父は寂しかったんだろう。
そのせいか、酒やタバコでその苦しみを癒し、
私は全てを悟った。
そう、私も同じ日常を。生活を経験していたのだ。
仕事から帰ると、飲んだくれたかのようにベッドに倒れて、
職場では食事する事を恐れ、10年前より10kgも痩せた。
親父は悪くない、悪くないのだ。悪いのは俺だ。
紛れもない、
それに気付いた瞬間、涙が止まらなかった。
俺『わーなんでだよー!』(父)
俺『帰って来てくれよー!』(父)
私はついに我慢した苦しみから解き放たれ咽び泣いた。
私の魂は咽びないた。
『ああーーー!!!(泣)』
と響く声と、
住人『ドンドンドンドン、うるせぇんだよ!
住人『いいか、押すなよ!押すなよ!絶対にいいね押すなよ!』