カランカラーン!
氷水の入ったグラスの音が聞こえる。

女『もう帰りたくない・・・』(照れ)

雰囲気ある、落ち着いた、なんともお洒落な、というのだろうか。
それらをまとめて雰囲気、ムードというのが幸いだろう。
私はジャズが流れている雰囲気あるバーで素敵な女性とお酒を飲み交わしていた。

そんな一言、言われてみたい!まさに言われてみたいと思った時の事だった。

『あなたは私にとって白馬の王子様なの。』

『だから私を、あなたのありのままを見せてちょうだい。』

もう一言。

『あなたに、私を、あ・げ・る♡』

言われてみたい。そんな二度とない言葉を一度でも良いから言われてみたかった。

そして遂にそれは実現する。

カランカラーン!
カフェの玄関が開いた音がする。

店員『いらっしゃいませ!』

客『ふたりで!』

店員『お好きな席にどうぞ!』

『お手洗い大丈夫?』
私は横にいた彼女に気を使わせた。

『うん、行ってくるね』
彼女はなんとも色っぽい面持ちで化粧室へと向かった。

『ふぅ。』
私は一足先に席へ着き、何やら美味しそうなディナーメニューを眺めていた。

ジュルリ。

(ステーキにしようかなぁ〜、それともクラブハウスサンドにしようかなぁ〜)

ワクワクドキドキさせながらメニューを見ていたら彼女が席に戻ってきた。

『私はステーキがいい〜!』

『ステーキ?いいよっ!(ニコッ)』
私は喜びながら、互いに同じメニューをオーダーした。

ふとガラス張りの外を見ると、ビルの夜景と夜空がキラキラと光っているのが見える。

女『ねぇ、』

男『うん?』

女『私、今日映画見たりとか、こんなふうに楽しい時間を過ごしたのは生まれて初めて。』

男『そうかぁ、』

女『私、あなたとならなんでも出来そうな気がするのっ。ンフッ』

男『うん、ありがとう。』

女『だからぁ、今日家まで一緒に付き合って。』

男『(えっ? いきなり?) う、、うん。。。』

女『そしてぇ、私の大好きな映画のDVDボックスがあるんだけどぉ』

男『うん。』(ゴクリ。)

女『それ、私のそれを、5万円で、あ・げ・る♡』

・・・

・・・

・・・。

なにこれ。

(もう、帰りたい・・・。)