『『青になりました!左右の安全を確かめてから渡って下さい!』
そんな女性の声が街に響き渡っていた時の事。

そこは渋谷109前。

じゃなかった、渋谷109前の信号を渡ったばかりの路地である。

『えー!!!』

『なんで私に声掛けるんですか?』

一人の男がとある女性に声を掛けていた。

男『いやいや、あなたしかいませんよ。』

女『いやいや!』

女は後ずさりする様に、すぐ近くの階段の手すりに手を掛け腰を掛け、一段一段とゆっくり降りながら、男を見ている。

女『だって他にもたくさん女の人いるじゃないですか?』(赤くなる)

やがて階段を終え、平面の床に着地した。

男『いやもういいんですよ。貴方に決めましたから。』

女『(ポッ)』(真っ赤)

そして、男は女の手を握った。

そうした時だ!
そんな時に限っていつも邪魔者が現れる。
ふとすぐ横を見ると、目がうつろになって酔っぱらっているオッサンが立っていた。

オッサン『あんた、ふざけんじゃないよ!俺がこの女に声を掛けるんだ!ったく!』

(せっかくのチャンスを無駄にしたくない。。。)

私はヒーローになりたかった。カッコイイヒーローの様な男になりたかったのだ!

なのに毎回邪魔物が入ってきて、全く。

そんな夢を見ていた時だった。

ジリリリリリリッ!

ガバっ!

『えっー!!!』

時計を見ると、ゆうに時刻は過ぎていた。
出勤時間を超えており、既にもう遅刻扱いだった。

すぐさま、布団から飛び上がり私はスーツに着替え、言い訳の電話を一本会社に入れた。

昨日変な酒を飲んだせいか、変な漫画を読んだせいだろうか。
頭が現実に辿り着かない。

大急ぎで自転車を漕ぎ、最寄り駅の駐輪場まで急がせた。
ようやく到着までたどり着き、ダッシュで電車に乗らなければマズかった。

そう思った時だ!
またまた、こういう時に限って邪魔者が現れる。。。

『すいません、交番ってどこですか?』

『すいません、駅ってどこですか?』

ああーー!!もうっ!!!

『なんで、私に声掛けるんですかっ!!』(怒)

オッサン『いいか、お前ら!押すなよ押すなよ!俺が押すんだから絶対いいね押すなよ!!』